深海の底で息を

生きること死ぬこと

決戦前夜。

 

明日、ついに荷物を取りに行く。

そして、全部運んだら

鍵を閉めて、

一緒に想い出も全部閉じ込めて。

ふたりが同棲するはずだった部屋に。

 

最後に、ポストに鍵を入れる。

 

それで、私たちはすべて終わる。

もう本当に何の関わりもなくなってしまうし、

私も先に進まなきゃならない。

 

手紙も書いた。

想いは全部、そこに伝えた。

もう後悔はないかな。

 

長かった。

あの悲しかった夏から。

もうクリスマスだ。

 

今年で、あの人にサヨナラする。

来年の私は、きっとまったく違う私だ。

弱気な自分と、サヨナラする。

 

今日までは、今日という前夜が

いつか来てしまうことに

とても怯えていた。

 

あの人は夢にも出てきて

私を苦しめた。

 

けれど、手紙を書き終わったら

なんだか心が静まっていて、

少し楽になっていた。

覚悟が決まるとは、こういう事なのかしら

 

明日、ちゃんと鍵を閉めよう。